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山里の暮らしでは、必要なものや壊れたものを購入することは最小限にするようにしています。
特に、木工作はできるだけ自前で作ったり修理することにしています。
材料まで自前で出来れば言うことはないのですが、原木からとなるとハードルが高いので、できるだけ安価な材料か、手に入った古材などを使い回しています。
何かを作るということは、まず道具が使えないと話が進まないということで、前回道具使いについて投稿しました。
道具使いはこちら
この時は、材料を四角く張り回して簡易に作るものでした。
しかし、こういう作りだと材料の小口という、木の繊維を切った切り口が見えています。
この小口はなかなか綺麗に仕上げられませんので、できるだけ小口が出ないようなデザインだったり、小口が出ても少なくして目立たなくするとかの工夫をしていることが多いです。
箱一つ取っても、角が木目が通っているのと、小口が見えて木目が寸断されているのとでは、印象がまるで違います。
小口が出ないように納める手法に留めという仕口があります。
留めを作るにはカンナが使えないといけません。
カンナ使いはこちら
以降、カンナが使える前提で話を進めます。
留め摺台を作る
何事も準備が必要です。いきなり作品の留めを作ることはできません。
まず最初に、留め摺台という治具を作ります。
留めとは;2枚の板の端を45度にして、斜めの面を2枚合わせると直角になる仕口の一つです。
これは、45度で切って、それを合わせてもなかなか直角にならないことも多く、確実に45度に調整削りをするための台になります。
作る作品の大きさに応じて作ります。
必要な道具と材料
道具類
- さしがね
- スコヤ
- 留め定規
- 自在定規
- 墨付け道具1式
- のこぎり(丸ノコやテーブルソーがあればほぼ45度に簡単にできますが、電動工具の取り扱いには十分な注意が必要です。下手をすると大怪我をします。)
- カンナ
- 接着剤(白ボンド)
- クランプ
材料
置き台;
厚さは厚いほうがカンナがかかるのでいいのですが、何事も過ぎたるは及ばざるが如しとか言います。
ハンドリングが悪くなりますので、厚さは1.5寸(45mmほど)〜2寸(60mmほど)、大きさは作る作品の大きさよりも大きくします。
当て木;
削る材料を押し当ててずれないようにするものです。45mm角ほど。
製作
- 置き台と当て木の小口部に45度の墨をつけます。
- その墨を残してのこぎりで切断します。
- 電動工具を使う場合は、丸ノコなら材料が動かないように固定をする工夫をしてください。
- 切り終わったら、自在定規を留め定規に当てて、45度と135度の角度を写しておきます。
- 自在定規に移した角度は、必ず確認をしておいてください。
- 例えば、厚みの一定な材料があれば、両面から定規を当てて、45度なり135度の線を引きずれがないか確認するか、紙に平行線を引いて同じように角度の線を引き確認する。
- 置き台は45度に切った上面に135度の定規を当てて、45度の面全体がうまく切れているかどうか調べます。
- 当て木は45度に切った下面に45度の定規を当てて、45度の面全体がうまく切れているかどうか調べます。
- 45度の面を調整する必要がなければ、置き台に当て木を接着します。
- ずれていれば、正しい墨をつけてその墨通りになるように、慎重にカンナ削りで修正します。
- この時、45度の面を丸くしてしまわないように注意しながら削ります。
留め摺台を使って留めを作る
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必要な道具
摺台を作るときの道具1式
- ノミ
- 箱を固定するベルトクランプもしくは真田紐
四角い箱を作ると想定し留めを作る
寸法の揃った材料を用意します。
- 小口部を45度に切断します。
- 摺台に材料を当ててカンナで削ります。
- この際に、正対する板同士の寸法を必ず合わせるようにします。
それぞれ、個別に留めの調整だけをしてしまうと、留めは良くても四角くならないことがあります。
そのため、木工ではその材料の使われる場所を特定しなければいけません。
正対している材料の寸法が合っていれば、真四角ではなくとも留めにはなります。(見た目ではわかりませんが)
カンナ使いが上手くいっていればいいのですが、船を漕いでいるようだと、留めの面を丸くしてしまいます。
仮組み修正
留めがよしとなれば仮組です。
留めの面同士を合わせると、ピタッといかなくてはいけないのですが、留めの面が丸くなっているようだと、出っ張り同士を合わせようと思っても合わないです。
このような場合は、再度修正作業が必要です。
どちらかが出ているのか、両方なのか、自在定規で確認しながら慎重に削って修正します。
この時は、カンナでやってもいいのですが、留めの外の墨を削らないようにしなければいけないので留めの面より少し幅の狭いノミで中央部を削るといいです。
ちょっとずつやって合わせてみることを繰り返します。
これを4か所全て合わせられたら、仮組み修正の完了です。
本組
いよいよ本組の手順です。
- 修正の終わった留め面に接着剤を塗る。
- 板の場所を間違えないようにして4枚を合わせる。
- ベルトクランプをセットして軽く締める。
- 直角の確認と微調整。
- わずかに直角が出ていない場合は、対角にクランプを掛ける等の修正を行う。
- 本締めをして、再度直角を確認し、良ければ24時間放置して固める。
補強
1日経過後、底も付けるので接着のみでも十分使えますが、補強をする場合のやり方です。
- 留めの角にかんざし板と呼ばれる薄板を差し込んで接着することでほぞの役目をもたせます。
- 材料は、硬い木がいいです。厚さは使うのこぎりの厚さに合わせてカンナで削ります。
- 作った箱の板の厚さの2/3くらいまで墨をつけて、のこぎりで切れ込みを入れます。
- のこで切ったところに接着剤をつけて板を差し込みます。
- 十分乾燥させて、はみ出した板を切り落とします。
まとめ
- 留めは難しい加工の一つです。
- 難しいので、修正するための工夫がされたのが摺台だと思います。
- 現在は電動工具が発達していて、簡単にできるようになっています。
- 昔は手道具のみでやっていたので、記載したように加工します。
- 手道具、電動工具どちらでもいいと思いますが、留めが綺麗に決まると気持ちがいいです。
簡単に板を追い回して釘でもビスでも打てば箱ぐらいできますが、芸がないと言いますか、そこには面白みがありません。
仕上げに塗装を施せば小口も見えなくなるので、初めから塗装することにしているなら追い回しでいいかもしれませんが、塗料の吸い込みも違うので、下処理も手間がかかります。
木地だけで仕上がりを綺麗にみせることができれば、透明の保護塗料をするにしても木目の素晴らしさも愛でることができます。
それには、木工の技術が必要なのです。
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