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山里暮らしで、家のリノベーションから建具や家具を作ってきたあれこれを紹介しています。
今回は台直しかんなです。
かんなをかけるのに、そのかんなの台を専用のかんなで削らなければならないとは、何とも大変な話です。
かんなの台を直す”かんな”だから、「台直しかんな」です。
刃が垂直に立っているところから「立ちかんな」とも言われます。
台直しかんな
よく、計量で秤を調整すると思いますが、これも基準となるものが正確でないと用をなさないために行われることです。
台直しかんなも、基準となるものなので調整が必要になります。
台の調整
- 台下端を平らにする。
- 刃の仕込みの調整(全てのかんなに共通します)
台の下端を平らにする
平面精度の良い材料の上に紙やすりを置いて台直しかんなの台の下端を擦ります。
平面が出ている材料で、台直しかんなの下端に平面を光る(写す)という作業です。
万全を期するなら、平面精度の良い材料としてはガラスがオススメです。平らに削った木材でも代用はできますが、狂いが出るので、その都度平面出しが必要です。
ガラスなら10mm厚くらいのものが手に入れば、そのまま使えますが、薄い場合には裏に板を硬化型の接着剤でくっつけてしまうという手もあります。
ちなみに、私の場合は8mmガラスをダブルで接着してあります。
大きさは、平かんなの底にも使えるようにするのであれば、長さ2尺、幅1尺くらいでしょうか。
調整をするタイミング
- 新しく購入した時
- 台直しがうまくいかなくなった時
刃の仕込みの調整
既に使われていた道具なら刃が出るようになっていると思いますが、新しい道具ですと、刃は出ていませんので、仕込みと言われる作業を行います。(新しくても刃が出ていれば不要です)
鉛筆の粉を用意、かんなの刃を取り出して、刃の背中(台と接する方)と両側木端に粉を擦り付ける。
台に挿して、軽く叩いたのち刃を抜く。
すると、台の背中なじみと押え溝に鉛筆の粉が黒く付着しているところが見られます。
黒くなった箇所だけを、ノミやヤスリの頭の角で非常に薄く削って落とします。押え溝は1分ノミなどを使いますが、取り過ぎないようにします。
これを繰り返して、しっかり叩いて、刃が刃口から刃の長さ全体が覗く程度まで調整します。
ゆるく調整してしまうと、背中なじみに何か貼り付けて削り直しになりますので、慎重に行います。
ほんのちょっとしたことで緩くなりますので、ちょっとずつ慎重に調整することをオススメします。
かんな台の調整方法はこちら
刃研ぎ
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全ての切削工具に共通して、切刃を研ぐ作業です。
刃を研ぐには、砥石が必要です。
砥石には、荒砥石、中砥石、仕上げ砥石があります。
砥石
通常、刃こぼれなどが生じていなければ、中砥石と仕上げ砥石を使います。
砥石には、人工砥石と天然砥石がありますが、天然砥石は高価ですし、道具を選ぶと言われていて、合う合わないがあります。
刃研ぎを少し経験して、ある程度道具が作業に使えるようになって、天然砥石を研究してからのほうがいいと思いますので、最初は人工砥石をオススメします。
人工砥石には番手と言われるキメを表す数値があります。
中砥石でも800番、1000番、1200番と色々です。
私は、800番と1200番の中砥石でキングと言うメーカーの物を使っています。
仕上げ砥石は、これもキングのG-1ゴールド8000番とシャプトンと言うメーカーの超仕上げ12000番を使っています。
台直しかんなの刃研ぎ
台直しかんなは、仕上げの基準となるかんなの底を削るものなので、その刃は、真っ直ぐになっていなければなりません。
できるだけ砥石が真平であると、それを光る(写すこと、真っ平らな砥石で研ぐことで刃も平らになる)ことで真っ直ぐにすることができます。
しかし、砥石は時事刻々使えば変化してしまいますので、自分の癖を身につけて砥石の狂いを直しながら、自分にあった砥石の形で真っ直ぐに研げるようになることも必要なことだと思います。
砥石が狂った場合の修正方法
コンクリートブロックを用意して、狂った砥石の表面を擦るだけです。
その後、もう一枚の砥石も擦って、2枚の砥石同士を擦り合わせます。
確かに砥石の表面が平らになって研ぎやすくなります。しかし、これをやりだすとしょっちゅうやらなければならなくなりますが・・・。
刃研ぎ
台直しかんなの刃の切刃角度は30度ほどです。
これは硬い材料を削るための角度なので、この角度が変わらないようにすることが重要です。
現在付いている角度を変えないように、切刃面全体を砥石に当てるように注意して細かいストロークで前後に往復させます。
基本的にはこれだけなのですが、この動作が完璧にできないので困ることになります。
研ぎ作業の留意点
かんなの刃は、気をつけていないと研ぎの動作中に寝てきてしまい角度が甘くなってしまいがちです。
- また、船をこぐような感じで、極端な話、放物線のような軌跡を描くと、切刃面が丸くなってしまいます。
- さらに左右均等に研げないと、片減りと言って、台から片方の刃が出ない状態になってしまいます。
研ぎ具合の点検
研ぎが大体できたようなら、研ぎ具合の点検を行います。
下端定規を用意して、研いだ刃を下端定規に載せて明るいほうに透かしてみます。
刃先全体が下端定規に密着しているか、どちらかに倒れていないかを確認します。
確認結果良好だと判断できれば刃を仕込んで削ってみます。
試し削り
研ぎ上がった刃を台に仕込みます。
玄能で軽く頭を叩いて刃先を出しますが、裏を見て、刃先が出ているのかいないのかといった具合で十分に削れるはずなので、必要以上に出さないようにしましょう。
この時に、刃先の出具合が左右で違う場合は、原則として研ぎ直しが必要になります。
調整が必要なかんなの台を用意して、削ってみます。
力もいらずにサラサラと削れれば完成です。
台直しかんなは、微細に削るのと、刃が立っているので、普通のかんなのようなかんな屑は出ません。調整をするかんななので、できるだけ細かい屑が出るのが正解となります。
刃が当たらなかったりするのなら、今ちょっと刃を出してみて、もう一度削ってみます。
ガリガリ言うようでは刃が研ぎ上がっていないのかもしれません。これでは調整ができませんので、もう一度研ぎ直しです。
刃を出さないとサラサラいかないのであれば、台が平らになっていない可能性もあるので、今一度点検し、必要なら底を擦ります。
あとは、台直しかんなの使い方で、かんな台にしっかり密着させて動かさないと、当たっているところだけが削れてしまいます。
調整ですから、少し削っては確認するようにしてください。
やり過ぎると、あちこちをたくさん削らなければならなくなりますので。
収納
調整が終わったら、刃に薄く油を塗って錆びないようにして保管します。
まとめ
- 台直しかんなも台の調整が必要で、台底を平らにします。
- 刃の仕込みはゆるくしないように注意します。
- 刃研ぎは切刃を真っ直ぐにすること、片がらないようにすること、丸刃にならないようにすることが重要です。
- 刃を仕込んで試し削りをしてみて、必要に応じ、研ぎ直しや擦り直しをします。
- 台直しかんなはサラサラと削れるように調整します。
台直しかんなは、かんなを削るためのかんなで、基準となるものなのでしっかりと仕込んでおく必要があります。
一度やってしまえば、調整が効かなくならない限り、あとはその都度刃を研ぐぐらいです。
ちょっと面倒ではありますが、その先には綺麗なかんなくずが待っているはずです。
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