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山里暮らしで、家のリノベーションから建具や家具を作ってきたあれこれを紹介します。
今回はかんなです。
かんなは仕上がりを決める道具です。
そのかんなにも、削る具合で荒仕工(あらしこ)、中仕工(なかしこ)、上仕工(じょうしこ)という区別があります。
そんなかんなですが、刃が研げていることはもちろん重要ですが、それ以上に台が重要なのです。
最近では、手かんなだけで荒削りから仕上げ削りまでやる人はほとんどいないので、かんながけといえば上仕工のことだと言われています。
上仕工かんなを調整するのはかなり難しいことなので、荒仕工までは電動工具などでできていることを前提にして、中仕工かんなの台の調整ということでスタートです。
かんな台の調整
かんなは使う前に必ず台の調整を行います。
台も堅木とはいえ木材でできていますので、湿度などの条件で微妙に変化を繰り返しています。
たまに、ちょっと均す程度だと面倒になって前のままで使ってみて削れることもありますが、基本的には作業前に台の調整をします。
かんな台は、材料に接地させる場所は3点(右写真の台頭、刃口、台尻です)を基本にすると言われますが、これはかなり難しいことになります。ずっとかんなの裏を削っていなければいけなくなるかもしれません。
しかし、2点接地(刃口と台尻)でもそこそこの仕上げは得られますし、2点接地なら調整もやりやすいのでオススメします。
調整方法
2点接地の接地箇所は、刃口と台尻です。それ以外の箇所をちょっと引っ込めるということです。
この2箇所がどの場所よりも出ていなければいけません。またバチになっていてはいけません。これらを確認して修正します。
調整に必要な道具類
台直しかんな;かんなを削るかんなです。刃が垂直に仕込まれている特殊なかんなです。
- 下端定規;金属製のものが市販されています。しかし、刃に当たると欠けてしまう恐れがあるので木製で自作するのがオススメです。バチを見るのにかんな台に置けるのも自作ならでは。金属性では薄いので置けません。
調整に当たっては、台直しかんなが必須です。
まず台直しかんなを仕込んでから中仕工かんなの調整になります。
ここからは台直しかんなが使える状態として説明します。
台直しかんなの使い方はこちら
かんな台の裏を確認する
刃を抜いて、台を裏返して長手方向に下端定規(若くはさしがね)を当てる。
刃口と台尻に下端定規(若くはさしがね)が当たっているか?(光が漏れていないか?)
その他の部分に隙間があるか?(光が漏れているか?)
これを台裏の5箇所について確認する。(台の幅方向左右と真ん中で3箇所、台尻と台頭の隅を結んだ2箇所)
多分狂っていると思うので調整に入る
刃口部分に台直しかんなをかける。
刃口部分に下端定規(若くはさしがね)を当てて刃口部分から光が漏れないように調整する。
かんな台を裏返して作業台などに置き、調整が終わった刃口部分に下端定規(若くはかなり真っ直ぐな30〜40cm程度の長さの木材)を置いて、台尻にも同じように置く。
台尻の後ろから、台尻と刃口に置いた下端定規を覗いて、バチになっていないか確認する。
バチになっている場合は台直しかんなで台尻を調整し、2箇所が並行になるまで繰り返す。
次に、各所を台直ししているので、最初に戻り台裏の長手を再確認する。
多分、台の真ん中と、台頭が膨らんでいるので、台直しかんなで削り隙間(光が漏れるように)を確保する。
刃を仕込んで再確認
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基本的な台の調整ができたら、台に刃を入れます。
しっかりと刃を入れて、裏座も入れます。
刃の出を調整してから裏座を詰めます。
この状態で台を裏返し、再度長手方向に下端定規(若くはさしがね)をそっと当てて隙間を確認します。(刃を出しているので注意)
この時に台頭の刃口の上が膨らむことがよくあります。
刃を詰めるとここへ圧力がかかって台を膨らませますので、このままの状態で台直しかんなと8分くらいのノミでこのふくらみを削ります。
かんな刃が出ていますので、刃の部分に木材などを当てて保護するといいです。
試し削り
ここまで出来たら、実際に試し削りをして、刃の出の調整をして調子を見ます。
試し削りの材料は、荒仕工以上の仕上げ面でないと刃がかかりませんので注意してください。
荒仕工の台裏の隙間寸法が0.3mm程度なので、それ以上の凸凹があれば刃がかからないことになります。
また、2点接地の場合のかんなの引き方は台頭を押し込んではいけません。
削れない理由にはかんな台の両端が出っ張っていることがあります。ここは大概大きく面取りしてあると思います。していない場合は面取りをしてください。
それでも出っ張っている部分は、台直しで削って下さい。
まとめ
- かんなは、刃が研げていても台が調整されていなければ削れません。
- 台裏は3点接地が最良ですが、2点接地でもそこそこは仕上げられます。
- 台の調整には、台直しかんなと下端定規が必要です。
- 台の接地箇所以外は光が漏れる程度の隙間を作ります。
- 接地箇所同士がバチになっていないように調整します。
木工作業の中でも、かんなという道具は簡単には使えません。
もちろん、台だけではなくて、刃も研がなくてはいけませんし、刃裏が切れれば裏出し裏押し作業が加わります。新品からの仕込みにもかなりの時間を要します。
台の調整は、初めはいつまでたっても調整できなかったものが、慣れれば10〜20分くらいではできるようになります。
全くいろいろと手間暇のかかる道具です。
ですが、手かんなで仕上げたものはプレーナーのようなロールマークはつきませんし、中仕工でもかなり精密で薄いかんな屑が出ますので、こだわればいくらでも綺麗に仕上げることができます。
まぁ、こだわりすぎるといくら時間があっても足りませんが・・・
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