壁板を張り替えて下地の大切さを知る。見えない物が肝心です。

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前回の床のリノベーションに引き続き壁を復旧した工事例の紹介です。

既存の施工がちょっと特殊な状態であったのであまり参考にならないかもしれませんが、世の中にはこういうものもあると知っていても良いかなと思います。

世の中には色々な壁の施工方法がありますが、今回の物は???でした。

おかげでもっと良く現状を確認しなければいけないことを勉強をさせていただきました。

何でも素直に出来てしまうと何も疑問も持たずに終わってしまいますが、あれ、あれの連続で色々考えさせられ、こういう風になっているはずだとの思い込み、自身の常識が通用しない事態にこれで良いのかとも思い、思慮の不足を棚に上げて施主の寛大な言葉に救われた工事でした。

床のリノベーションはこちら

自分で家の改修に挑戦しようと思っている人の参考になればと思い投稿しました。 先ごろ床を修復して欲しいとの依頼を受けて工事を実施した...

現状(現地調査の結果)

今回の工事は、既存の仕上げ材のプリント合板の張替えなのですが、施主の要望があり壁全面ではなく鴨居下の部分のパネルの張替えです。

従って、その上部の小壁に相当するパネルは残っている状態です。

新築当初は真壁構造だったものを大壁構造に変更したものですが、それ相当の年数が経過しているため汚れや剥がれ、傷も目立っており、新設パネルとの取り合いが心配です。

また、新築時の壁は土壁ですが、荒壁のままなので経年で土壁表面が痛んできており、ちょっとした振動でもボロボロと崩れてきてしまいます。

土壁表面をちょっと固めてやれば崩れが抑制できますが、やり出すと切りもなくなると言うことと壁の上部を残すので結局中途半端になります。

そもそも限界集落の高齢者世帯や家族の事情などなど、悩ましく難しいことが山積していることで手を付けないことになりましたが、 釘を打つたび、ビスを打つたびにボロボロと落ちてきて掃除をしてもきりがなく閉口しました。

さて、新旧パネルの取合いですが、当初はパネルのジョイントに使ってあった塩ビのジョイナーを小壁との取り合いに流用するつもりをしていました。

しかし、解体して試しに残すパネルに嵌めこうもとしても一部パネルの端が膨らんでしまっている箇所があり、外せはしても嵌め込むことができず断念し、木製の見切り縁を新設することに変更しました。

また、窓廻りについてよく見てみると壁の納まりを行っているような形跡がなく、張り放しで小口に塩ビジョイナーのエンドを被せて終わりにしてあって下地が覗ける状態でした。

今回は窓枠をつけさせてもらって納まりを綺麗にすることとしました。

床は新築時の畳を流用しているので相当変な納まりなんですが、土壁の上に大壁のプリント合板を張り増しているので畳を壁下に差し込むようになっていました。

畳を上げたり納めたりする度に壁パネルの下に当たってバタつかせているのでパネル保護の材料を入れることにしました。

用語解説
土壁古い家の壁は大概土壁であることが多いです。大量に必要ですが、近くにある材料で済ませら
れることが多いです。粘土の土に切り藁をすき込んで寝かせて発酵させて塗りつけたものです。

復旧方針

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  1. 窓枠の新設
  2. 壁パネルは鴨居下部パネルのみの張替え
  3. 旧パネルとの取り合いは木製の見切り縁を打ち付ける
  4. 新設パネルの縦ジョイントは塩ビのジョイナーを流用する
  5. 畳が壁下に差し込まれる箇所については壁パネルを損傷させないように見切り材を新設する

窓枠の製作

施工順序

  1. 基準を決める新設した窓枠
  2. 窓廻りの計測
  3. 型板作り
  4. 材料墨付け刻み
  5. 仮組、調整
  6. 本組

右のサッシ方立、上の方が幅が狭い

基準を決める

窓枠の見込みについては、既存の壁下地とアルミサッシの建て入れを基準として膳板をレベルにとって四角い枠を設置することとしました。

膳板の型板を作って既存のサッシに当てて仕上げと散りを考慮した寸法で見込み寸法を決定。

アルミサッシの建て入れも部屋側に倒れているように見えるたため、左右の方立の上部の寸法を測ると案の定膳板の見込みよりも小さくなっていました。

仮組確認後本設置

この情報で墨付け刻みを行い仮組をすると、なんでか?上部の散りが決めた寸法で確保できていないことが判明?

よくよく見ると下地が凸シャコしており上部の取り合う下地は出っ張っていたのでした。

大壁構造にするときに下地の面を作らず単純に部材寸法が違う面に貫を打ち付けたため段差ができていたり膨らんでいたり凹んでいたりと、薄い平面の仕上げ材を張るのにもうどこに平面があるのかと怒り心頭とまではいきませんが呆れました。

組み立てに際しても膳板を載せる窓台が直交方向ともに相当片がっていたため細かにパッキンを当てレベルを取り、上部で散りが出ない箇所は下地の作り替えをしてなんとか納めました。

用語解説
見込み奥行き(寸法)のこと。因みに枠などの厚みは見付けと言います。
方立枠などの左右の垂直に立っている部材のこと。
膳板腰窓の窓枠の下部の材料で化粧と見切りを兼ねる部材のこと。
お膳のようなイメージでしょうか
腰窓床から上がっている窓のこと。腰壁がある。因みに床まである窓は掃き出し窓です。
散り枠と壁などとの段差寸法のこと。施工には誤差が付き物なのである意味逃げです。
しかし、真っ平らに収めることは大変難しく見栄えが良いかと言えばそうでもない気がします。
散りは陰影を作りますから深みが出ると思います。
真壁構造木造軸組構造の一つで柱が仕上げとして見える構造です。
大壁構造木造軸組構造の一つで柱を壁仕上げの中に隠してしまう構造です。

壁パネル張

施工順序

  1. 壁下地の補修、補強
  2. 残す小壁パネルの補強ビス打ち
  3. 残置釘抜き
  4. パネルを1枚づつ張る場所に当てがいながら隣合うパネル、小壁パネルとの取り合いを調整してパネルを完成させる。
  5. ジョイナーを仕込んでパネルの釘打ち、ビス打ち
  6. 4、5を繰り返し

下地補修・補強

壁下地については上部の小壁を残す方針から既存の下地の流用ですが、これが相当な曲者でした。

壁下地は通常であれば縦地ピッチ1.5尺(約45cm)と貫厚5分(15mm)は最低だと認識していたのですが、既存の下地は縦地が3尺(約90cm)ピッチでさらに貫も4分厚(12mm)とだわだわ、これでは玄能で中央付近に釘は打込めません。

多分、エアー工具で打ったのだろうとも思われました。

そんなことで、エアー工具を持たないので釘打ちできない箇所についてはビス打ちに変更させてもらいました。

パネル張り

パネル割については、今回は入隅があるので、施工が難しくなるそこから割り付けるのが普通だと考え、特に小壁の割り付けを意識せず入隅に合わせて真物(3尺×6尺)を配置しました。

張っていって向かい壁にきたところで小壁のジョイナーの位置が違っているのに気がつきビックリ・・・

しかし、張放しになる反対側にしわ寄せをやった方がいい気がしたんだけども違ったのかな?

窓のところも窓の真ん中にジョイントがなく、何か既存のパネル割には疑問が多い・・。

今回はお施主さんには申し訳ないが説明しお許し頂きました。

見切り縁

その後、懸案であった既存小壁パネルとの見切り縁を打ち付け壁は完成です。

見切り縁の材料は幅約1寸程度の幅をもたせたことと、少し黒っぽいステイン塗装を施し「上下の仕上げが違う」の強調を狙いました。

結果は、まぁまぁじゃないでしょうか?新設パネルは白っぽく、既存小壁パネルは薄いグレー系の柄物が汚れている状態ですが、真ん中に黒っぽい帯が入ったような感じで上下を区分したかのようになりました。

用語解説
縦地下地の垂直方向に配置させる部材の意味で使っています。
真壁から大壁へ変更する際には古家では土壁がありますので、しっかりした間柱は望めません。
小寸法の部材なので下地の縦です。
真物を使う定尺の材料などをその寸法のまま使うこと。
定尺物工業化にするためにあらかじめ決まった寸法で作った材料等です。
見切り縁仕上げが変わる箇所や終わる箇所、隙間隠しなどにも設置する小さい角材などのことです。

その他

畳を入れて畳寄せを確認、案の定壁の凸シャコがあって畳寄せがピタッと来ないどころではなくある1箇所が異様に出っ張っていて畳が入りません。

一様に厚みを調整するだけなら簡単ですが、壁が出っ張っている部分だけを減らさなければならず往生しました。

最後に生活空間なので、棚やカーテンレール、付け鴨居等必要なものを元に戻し壁復旧を完了しました。

まとめ

  1. 修繕や改修は既存があるのでよくよく観察して確認しておかないとうまく納められません。
  2. 杓子定規に水平や垂直、平面などを作ろうとしてもダメです。
  3. 既存に合わせるのだという認識が一番大事になります。

なんとも摩訶不思議な壁復旧工事でしたが、なんとか納めて綺麗になったと喜んでいただきました。

既存の施工があまりにも・・・で、それを流用しているのでお世辞にも良い施工にはならず恐縮するばかりでしたが、このような施工もあるものだと勉強にはなりました。

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